奥秩父の笠取山は長年気になる山だった。
山名の由来が「山見廻り役人がここの山頂で笠を取って挨拶した」というの好い。
伝説だったとしてもなんともたおやかだ。
そして1994年版のガイド地図では山名が赤地白抜きになっている。
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何か曰くありげではないか。
そして標高が1953m。
これを1953年にするとエベレストが初登頂された年になるのだ。
その他にも自分のプライベートの数字にもなる。

この山は本来なら35年前に雲取山~雁坂峠縦走で頂上を踏むはずだった。
でも自分も友人も時間が取れずそのうちに縦走の話が立ち消えになってしまった。
そして今、Tanmaさん始めみなさんのおかげで山頂を踏むことができたのでした。
ごいっしょくださったのは、席亭のTanmaさん、おっくんさん、でこちゃんさん。レンレンさん。

出発点は作場平駐車場、6時40分発。
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30分程で一休坂とヤブ沢峠を分ける分岐。
Tanmaさんプランでヤブ沢峠へ向かいます。
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このコースがとても良かった。
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細流を辿り。
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桟道を登り。
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そしてヤブ沢峠、8時11分着。
メルヘンな景色を歩いたので出発してから1時間半過ぎたとは思えなかった。
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ここから25分ほどで笠取小屋、8時36分。
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秩父の小屋は巨大建造物でないのが好い。
山仕事の拠点がそのまま登山者の小屋になったという感じ。
しかし、ややや、鹿の群れ。
ここは奈良か。
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小屋で餌をあげているらしい。
なるほどちゃんと食事をさせれば鹿による植生への被害が軽減されるのだった。
ここからの大菩薩が立派だった。
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これから先も大菩薩は立派だった。
でも富士山へ周囲の景色が好くって大菩薩まで気が回らなかった。

8時55分に小屋を出発してからしばらく、またメルヘンの景色に出た。
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秩父の尾根のこの景色が素敵だ。
みんながカメラを構えるのは当然だ。
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そして登ったところが小さな分水嶺。
塚のような小さな突起だがここが凄い所。
荒川、多摩川、富士川の分水嶺なのだった。
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まるで甲武信岳のようではないか。
ここからの景色がまた素晴らしく、ここで終わりにしても好いの声あり。
全くその通りだったけれど10分程の滞在で笠取山へ。
今までのんびりした歩きだったのだけれど見える山頂は突兀としている。
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やっぱり笠をを取って挨拶じゃなくって北アルプスの笠岳と同じ笠の形なのだった。
その笠というのは市女笠だ。
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だからここへ来ての登りがつらい。
しかし振り返れば絶景だ。
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山頂からの景色がまた好い。
とにかく富士山だ。
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そしてぐるっとの景色。
奥多摩の三頭山から始まって丹沢、大菩薩、富士山。
南アルプスから奥秩父の山々。
山頂着は9時46分。
富士山といっしょに撮影できるのが好い。
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しかしこれは本来の山頂ではなかった。
10分程の撮影タイムから先に進みます。

いつも素敵な両神山。
その後ろに上越国境の山々。
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1953mの山頂。
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ここから多摩川水源の水干に向かいます。
水干への道。
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水干の標識。
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ここからの1滴が多摩川を作るのだ。
自分は子供のときに世田谷区に住んでいて二子玉川で泳いだりした。
祖父と多摩川沿いを散歩もした多摩川園、二子玉川園の遊園地にもお世話になった。
だからここへ案内してくれたTanmaさんに感謝。
名前の通り水が干されていたけれどこの整備に東京都の心意気を感じる。
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再び小さな分水嶺に戻って昼食。
50分程休んでから11時57分に山小屋を経て一休坂を下山。
多摩川源流沿いだ。
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ぐんぐん下って行って13時7分に作場平着。
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もう今日は本当に好い山行でした。
念願の笠取山に登れて満足以外のなにものでもない。

形が好くって雰囲気が好くって景色が好くって多摩川の水源地で。
これはもう立派な名山だ。
ただ多摩川は都民の水の供給地だ。
そのために山梨県にありながらも東京都が管理して整備している。
それゆえに素敵な景色に恵まれているのだろう。
だとすれば名山などとなって、わんさか人が押し寄せたらやっぱり困る。
今ぐらいが丁度好いだろうな。