35年ぶり3回目の大菩薩嶺です。
第1回目
40年前、4月の上旬に単独で。
バスの車窓から見た桃の花が美しかったこと、岩と草原の富士見新道を登ったこと、頂上が薄暗かったこと、尾根や沢筋にはまだ雪が残っていたこと、大菩薩峠からの富士山方面の景色が良かったこと、などが記憶に残っています。
因みに富士見新道は現在は一般登山道ではないようです。
(1985年版アルパインガイドより。上日川峠のロッヂ長兵衛はまだ長兵衛山荘)
第2回目
35年前、晩秋に後輩とふたりで、途中小金沢か牛奥の雁ヶ腹摺付近でビバーク、南大菩薩を縦走して初鹿野駅へ。
ビバーク用のテントと水と炊事道具を自分が持ったこと、ビバークした夕食のこと、駅に着いたときは暗かったこと以外全く何も記憶がありません。
1回目も2回目も出発地点は裂石。
2時間かけて上日川まで登ると林道が通っていてバカバカしかったし、しかもその林道をしばらく歩かなければならなかったのも癪に触った。
8月最後の土日も天気予想が今ひとつ。
遠出したいが行った先が雨だったらとおもうとリスクが大きい。
そう思って近場ばかり行っていたけれど、他の人のブログなどを拝見すると存外天気がよかったりする。
と考えていたら「大菩薩」が浮かびました。
昔と違って上日川まで車で入れるのであのバカバカしさがない。
もし雨であっても行程が短く尾瀬同様傘をさしても歩けるような山だ。
それが晴でもしたら、気持ちの良い笹原の尾根と景色に恵まれる。
そして2000mだからまあまあ涼しくもある。
8月27日の甲州市の天気予報は午後には傘マークが並んでいたものの午前中は雲マーク。いちかばちか行ってみるかあという気になりました。
上日川峠に着いたのは午前7時。
ロッヂ長兵衛の前に駐車場はもう満車でした。
少し先に行った駐車場に駐車。
着いたときはガスっていましたが少し明るくなったりして、出発準備をしている人たちの中からは「晴れる晴れる」の声も。
とても親切な案内板の登山口。
前回の記憶がないので初めて来たのも同然だったが…標識に従って歩き出してすぐの山道には少し違和感が。
長兵衛山荘から福ちゃん荘までは林道歩きで、ちょうど三つ峠を御坂方面から登るのと同じ感じだったからだ。
見れば並行して舗装された林道が通っていて、そこを歩いている人もいた。
まあ林道、特に舗装道路を嫌がる人もいて、だから登山道もあるのだろう。
自分も昔は林道が嫌いだった。
歩きだして25分、山道を歩いて行ったら直接福ちゃん荘の前に出た。
福ちゃん荘はその昔、連合赤軍だったかが武闘訓練をしていたということで有名になった名前だ。
40年前に2時間以上かけてたどり着いた福ちゃん荘は、人里から随分と離れていて、確かに武装組織が秘密裡に武闘訓練などしていても気が付かれなかった雰囲気ではあったと思う。
舗装道路が通じている現在ではチョッと想像が出来ないだろうが。
さて立派な大菩薩案内図があって、ここからが大菩薩嶺への登山道だ。
第2回目は多分この道を登っているはずなのだけれど全く記憶がない。
記憶がないけれど草原が出現するとやはり大菩薩らしいなんておもってしまう。
しかしだんだんガスが濃くなって雨のリスクが高まります。
景色がないせいか尾根という感じの薄い唐松尾根を福ちゃん荘から登ること50分、8時30分に雷岩着。
大石がドカンというイメージだったけれど、岩のわだかまりだった。
それにしても今年の春にブロ友のみなさんとガスと霧雨の坪山に行ってから、その後特に単独のときにガスることが多い。
ガスった景色は嫌いでないし今回はそれを覚悟だから仕方ない。
なんておもっていたらそのときの企画者であるひらさんからLINEが来る。
現在の状況など返信しつつ頂上へ。
8時40分、大菩薩嶺。
以前の大菩薩嶺の頂上は、木々に覆われた薄暗い登山道の途中にあって「これが頂上なの?」という雰囲気だったが現在は周囲が少し伐採されて明るかった。
山頂には若いカップルより少し遅れて到着。
シャッターを押してくれました。
霧雨の中を会話や撮影、少し食事などで10分後に出発、大菩薩峠へ歩きだします。
晴れていれば気持ちの良いはずの尾根。
頂上から15分程で神部岩。
富士見新道を登るとここへ出てくるはずです。
それと思われる方向に進むと立札がありました。
廃道にはなっていないようです。
誰か同行してくれる人がいるならばまた登ってみたい道です。
この辺りから霧雨が小雨に変わりつつありました。
防水のパーカーを着用。
賽の河原もガスの中です。
途中でノコンギクを発見。秋だなあ。
中里介山を記念する五輪塔。
大菩薩峠という小説名、中里介山という作者名、机竜之介という主人公名を知りつつも未だに読んだことがない。
山頂から40分の9時半に大菩薩峠。
どうも自分の記憶にある景色と異なります。
もちろん雨と晴天の差があって、今日は遠景がまるでないわけであるがそれにしてももう少し峠が広かった気がする。
介山荘がもっとこじんまりしていたのかもしれない。
大菩薩嶺、大菩薩峠と歩き、そして本格的な雨になってきたこともあって、ここで起点の上日川まで下山してもよかったがあまりにも時間が早い。
これじゃ車の運転の方が長くなってしまう。
予定していた小金沢連嶺・牛奥までの縦走・往復は諦めるにしても石丸峠ぐらいまでは行きたい。
ということで5分の休憩後に先に進みます。
苔むした林の中を登る。
熊沢山を過ぎて下りになると丈の低い笹原が広がります。
晴れていたらどんなにか気持ちの良いことでしょうか。
10時に石丸峠着。
ここは2回目になるけれどもちろん峠そのものの記憶はありません。
でもここから牛奥の先まで、ずっと草原のような尾根が続いて景色もよく気持ちが好かったことは頭の片隅に残っています。
再訪を期して今日は下山へ。
下山途中の花。
大きな瀬音が聞こえてきて沢を渡渉。
打ち捨てられたゴミに35年前の痕跡が…。
昔はハイキング・コースなどにジュースの空き缶などが捨てられていることが普通でした。それを憂いた自然保護運動の人などは空き缶などのゴミは未来永劫残るのですよと警告していたものです。
いやはやホントに残ってしまっている。
なんてことを考えていたら上日川の駐車場に着いてしまった。
11時10分、さらに車が増えていました。
しかしまあダメ元で来た大菩薩ではあるけれど、やっぱり晴れて景色があった方が好い。
小金沢連嶺や牛奥も歩きたい。
この秋の再訪を誓って大菩薩を後にしました。
行動時間3時間55分 休憩15分 歩程3時間40分でした。
ところで車で下りて行ったら山梨県は大雨が降っていました。
下が晴れても山は雨というのはあるけれど(あるいは山で散々降られて下山したら晴れていた)、山は小雨なのに下は大雨というのは初めてのこと。
自分にとって何か好い兆候かもしれませんね。