ブロ友のこうちさんから「檜洞丸=シロヤシオ」という示唆を受けて思い出した。
前回檜洞丸に登ったのは2011年5月15日。
大地震の後、初めて登った山だった。
ところがそのときはまだシロヤシオもミツバツツジも全く咲いておらず、「まだ全然早かったね」というのが頂上でのあいさつの言葉だった。
その言葉はその日の檜洞丸のあちこちで聞こえてきたものだった。
それで今年はどうかとネットで調べたところ、檜洞丸周辺も畦ヶ丸周辺もどうも見頃を過ぎてしまっているらしい。
ただ「1000メートル以上は」という記述もあったので、2011年のときのように全く花がないという状態でもなさそうだ。
トレッキング・シューズを檜洞丸のような登り一辺倒の長丁場の山で試したいという気持ちもあった。
週末は日曜日に天気が崩れるようだし、それなら23日の土曜日が今年最後のチャンスとばかりでかけてみた。
ツツジを見るからには「つつじ新道」だろうと西丹沢自然教室の駐車場に着いたのは6時半だった。が、やややや、30台ほど駐車できるはずの無料の駐車場がもうすでに満車であった。
しょうがないからキャンプ場の有料の駐車場へ。
これがなかったら駐車難民になるところだったからありがたく駐車させてもらう。
駐車場発6時40分。
すでに多くの人が山に向かって歩いて行く。
つつじ新道の入口は暗い沢筋。
しかしすぐに沢を離れて綴れ織の登りに。
トレッキング・シューズで足が軽くどうしてもペースが早くなってしまう。
重登山靴でのゆっくりとした歩きに完全に慣れてしまっているので、ペースが速くなると息も弾むし鼓動も早くなる。脚は楽かもしれないが身体全体に及ぼす影響がよろしくない。
沢筋を登りきると尾根を越え、東沢を高巻く平坦な道を行くようになる。
ここで呼吸を整えるべくゆっくりと歩く。
こうした平坦な道はトレッキング・シューズだと歩きやすい。
歩き始めて50分、7時25分のゴーラ沢出合いの渡渉地点へ。
重登山靴だと小さな渡渉など、もし落ちたところで水が漏れるなんてことはないけれど、新素材とはいえ「布」のトレッキング・シューズだと心配になる。
もちろん問題なく渡っていよいよ本格的な登り口へ。
すぐにこんな鎖が出現するが奥武蔵あたりだったらなんてことない普通の登りだ。
ただしばらく石の多い痩せた尾根が続く。
こうしたところでは自分としてはトレッキング・シューズだと歩きにくい。
ここでも脚が軽いためにペースが早まり普段と歩き方が変わり、へんなところに力が入って逆に疲れる。
歩き始めから1時間、ゴーラ沢から10分で広い尾根に。
ここで考えた。
軽いということで歩き方を靴に合わせてしまったが、靴はどうあれ歩き方は従前どおりでいいのではないかと。
それで特に登りはビブラム底の重登山靴のときのように、足の裏をべったりと地面や石面に落として歩くようにした。
これだと速度は遅くなるが変な力が入らないので自分としては楽である。
1時間半で標識。
そして展望台に。
という名前だが富士山が木間越しに見えるぐらいだろうか。
ことしの富士山は雪が妙に少ない気がする。
そしてガイドブックに大きく載ってる展望台ではあるが10人程度が休める程度の面積だ。
出発から2時間、歩き方を変えて自分自身のペースに戻って調子が出てきたところでブナの大木が散見できる尾根に。
深い森の中にいるようで気持ちが好い。
がしかしまた石や岩の多い道に。
ここではもう完全に歩き方はビブラム底に。
それで岩の上でも快調に歩けることに。
そして歩き始め2時間20分、第一ミツバツツジ発見。
2011年5月15日はほんとに花がなかったから、とにかく花が咲いているのが嬉しい。
このあたりはミツバツツジが群生していて、花盛りのころならばさぞやだったろう。大室山が間近に見える地点だ。
次にシロヤシオ発見。
ただホントに遅かったようだ。
地面にはなびらが落ちていて、見上げると5枚の葉のトンネルだ。
最盛期はこれが白い花のトンネルだったのだろう。
ふと愛鷹山のアシタカツツジを思い出す。
もし今日あちらなら勝ち組だったかもしれない。
それでもミツバツツジとシロヤシオのコラボも。
展望が開けてきてまたまた富士山が。
蒸気が立ち上る大涌谷も望見できる。
蒸気というよりああなると噴煙だ。
ゴーラ沢を通って来たがあおのゴーラは箱根の強羅と同じだろう。
ただ強羅の地名の由来になった大石ゴロゴロは、火山の噴火がもたらしたとされているから「噴煙」を見ると心穏やかでない。
そして再びミツバツツジとシロヤシオ。
さらにシロヤシオの山盛りが。
そして歩き始めから2時間50分、9時25分に箒沢方面の分岐。
バイケイソウ群落の木道。
ここを過ぎるとすぐに頂上だ。
9時45分、3時間と10分で頂上着だった。
ガイドブックでは2時間45分になっているから、途中の小休止合計15分を除いても2時間55分かかったことになる。
ただ軽いトレッキング・シューズのおかげなのか、約3時間登り続けてきた割にはそれほどの疲れではない。
脚はまだ軽やかな気がする。
さて例の儀式である。
ちょうど人が通りかかり、シャッターを頼まれたのでこちらもお願いする。
しかし丹沢でも人気のひとつの檜洞丸の山頂標にしてはショボい。
管轄しているのが環境庁か神奈川県かよくわからないけれど、せっかくの頂上だからなんとかした方がいいのではないか。
頂上では25分休憩、下山路は石棚山を経て箒沢公園橋へ。
犬越路方面へ下りたかったが犬越路から先のゴロゴロ石道をトレッキング・シューズで下るのを嫌って石棚山方面にしたのだった。
でも尾根を見るとやはり犬越路の方がよかったとおもう。
しかし、提出したのと異なるコースを行くと何かあったときに一番困る、という神奈川山協かなんかの文を読んだばかりだったのでここは自重する。
つつじ新道から分岐すると急な下り。
小さなピークの後にユーシンへの分岐に。
ユーシンとは懐かしい地名だ。
そしてブナ林の緩やかな道。
静かで気持ちのよい登山道だ。
こっちを登りにすればよかったとおもう。
このコースもミツバツツジの群落が散見できたし、白い花がありこちに落ちていたから最盛期ならばシロヤシオのトンネルもあったのだろう。
頂上から30分ほどでテシロノ頭に。
地図に大きく出ているわりにはショボいピークだった。
さらに気持ちの良いブナ林を歩く。
しかし頂上から1時間歩いたたが、石棚山に中々到達しない。ピークかとおもわれる高みは巻いてしまうし、ここがとおもうピークにはなにも標識がなかったりする。
やっとそれらしき小さなピークがあって、登りきると狭い頂上をグループが占拠している。これが石棚山かとおもったらヤブ沢の頭だった。
ということは石棚山はもう通り過ぎてしまったことになる。
巻いてしまったのか気が付かずに通り過ぎてしまったのか・・・。
そうなるとあとはもう下るだけになるがこれがそうでもない。
小さなピークの登り下りを繰り返す。
石がちな道が多い。
こうした道の下りはトレッキング・シューズだとつらい。
自分の場合は重登山靴ならドカドカと進んで行くが軽い靴だとそれができない。
ドカンの脚を下ろすとやはり衝撃が来る。
ズンズン下りて行ったら膝が痛くなってきた。
こういったことは今までなかった。
それで膝や腰をかばうようにゆっくりと下る。
もちろんこれは自分の特殊事情であって、昔は地下足袋を履いている人だって珍しくなく、自分の仲間などは地下足袋で岩場を猿のように飛び跳ねていたから、靴なんて人それぞれなんだとおもう。
だから自分もトレッキング・シューズでも、膝や腰が痛くならない下山方を体得しなければいけないのかもしれない。
頂上から2時間10分で沢まで下ってくる。
大きな砂防ダムがあって、そこを下りるために鉄梯子があった。
奥穂高の登りを思い出した。
さらに沢に沿って歩き、頂上から2時間半の12時40分に一応終点である箒沢公園橋着。
下りでは10分ほど休憩しているからまあまあガイドブック通りだろうか。
とそのとき西丹沢行のバスが。
駐車場に戻るに車道を歩くのは嫌だったので時間があえばバスでとおもっていたのだ。そのバスが見えたから自分なりにダッシュしてみた。
があえなくバスは停留場を通り過ぎて・・・
しかしバスが停留場を過ぎたところで停まってくれたのだ。
ありがたや。
おかげで12時45分には西丹沢自然教室に戻ることができたのだった。
6時40分から歩き始めて12時40分に登山終了。
行動時間6時間、休憩時間合計が約60分だから歩程時間5時間だった。
檜洞丸はあおの大地震後初めて登った山だが、今回の山行が○○以前に最後に登った山になりませんように。
大涌谷の蒸気を望見してチョッと心配になってしまいました。