5月の28日に檜洞丸へ行ってから3週間空いてしまった。
そろそろ夏山に備えなくてはならない、かもしれない。
いや別にどこへ行くあてもないけれどまあ備えだけはしておきたい。
自分は高山症状が出易い体質だ。
標高が2500mほどでその症状が出る。
昔先輩から1度高所順応すれば10年は大丈夫だなんて言われたことがある。
それを信じていたが富士山を登るようになってどうもそれは違うと気が付いた。
というのも毎回標高2500m付近から「バテ」が始まるのだ。
当初は「バテ」だと思っていたがごくごく軽いが頭痛だの吐き気が起こる。
単純に足がかったるいのではなくって体調がおかしくなるのだ。
それで思い返してみるといろんな山で標高2500mぐらいのところで足が止まっている。
そうかあれは高山症状なんだと気が付いた次第。
毎回そうなるのだから高所順応なんて無駄かも知れない。
でもやっておけば軽くて済むだろう、だろうともう、きっとそうだよ。
ワクチンだって感染しないわけではなく、でもやっとけば軽症で済むのだ。

で高所順応には富士山が格好の山だ。
なにしろ近い。
それでいて3000mまで達するのが容易だ。
今回は標高1970mの須走口から3367mの本八合目まで登ることにした。
標高差約1400mで歩程は5時間20分だ。
これだけ登ればけっこうなトレーニングだろう。

出発を4時30分としたかったけれどなんだかんだで4時55分になってしまった。
およその5時だ。
これまで須走口から富士山に登るときは4時に出発していた。
でも今日は八合目までだから気楽なものだ。

黎明の富士山。
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日の出。
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朝食を摂った後に出発。
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天気予報が芳しくなかったためか意外と車が少ない。
自分も雨が降る前に下山する予定でいる。
当初の予想では土曜日がよく日曜日が思わしくないだったがいつのまにか逆転していた。

登山口。
一応ゲートは閉まっている。
でも真ん中が開いている。
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須走口は最初は樹林帯を歩く。
これがまたなかなか好い。
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シロバナヘビイチゴがそこら中に咲いていた。
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これはフジハタザオ?
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標高が上がって山中湖が見えて来た。
須走口のこの景色がたまらなく好きだ。
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新六合目着6時13分。
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本六合目前のシャクナゲ。
全く咲いていなかった。
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本六合目6時57分。
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雲海が美しい。
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本六合目付近からの富士山。
山頂付近の雲が取れてきた。
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富士山のこの傾斜が好きだ。
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スキー板を背負った好青年に軽く抜かれてしまった。
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日本のスキー場にリフトが普及したのは1960年代。
それまではスキーといえば板を担いで山登りしていたのだ。
だからスキーと山登りはセットだったのだ。
三浦雄一郎はスキーヤーとしても登山家としても一流なのはそのためだ。
なので板を背負って山を登ってい行く彼を好ましくおもってしまう。

ところでこの辺りから高山症状が出始めた。
出発してから3時間ほどだから丹沢の塔ノ岳だったらまだ余裕の時間だ。
なのに苦しいのは高山症状のためだろう。
7合目太陽館は7時57分通過。
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そして本七合目の見晴らし館8時42分。
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標高3000mを超えている。
4時間近く登った
軽いけれど頭痛あり。
ここでアンパンを食べて少しく休む。
水分もがぶがぶと摂取する。
この甲斐あってか少し元気になって出発。

ところでここまで小屋に人は全くいなかった。
この先も小屋に人の気配がなかった。
例年なら(2019年までなら)この時期もう小屋開きの準備で人が入っていた。
日帰り登山者のために売店を営業していることもあった。
でも今年はコロナ禍のせいなのかどこも無人でひっそりしていた。

この辺りから雪が多く出現する。
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ブル道の積雪。
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八合目標高3261m。
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目標の本八合目着9時40分標高3367m。
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5時間近く登って来たし今日はここまでが目標なので満足満足だった。
パンをバクバク食べて水分もぐびぐび摂って、だらりと休んでいたらけっこう元気になった。
しかもまだ時間も早い。
それでさらに雪景色を求めて上に行くことにした。
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九合目着が10時45分標高3588m.
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いわゆる須走口山頂まで高低差であと120mほどである。
もうすぐ上にその山頂が見えている。
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高山症は収まったようだがこの先は予想以上の雪でトレースもない。
でも山頂が目前なので一応持っていたチェーンを装着して登り出した。
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ただトレースがないからステップを切らなければならない。
ガシガシと登って行ったがとってもかったるいことに気が付いた。
今日の自分はただ高所順応に来ただけだ。
なのに雪の上でガシガシやらなければならないなんてなあ。
もう何回も登ってるし雨の心配もあるし。
でアプリが3620mを示したところで下山を決意。
でも雪の富士山が好かったのでとにかく撮影。
吉田口への雪渓。
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くどいのだけれど富士山のこの斜めの線がとにかく好きだ。
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下山は須走口の砂走。
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しかしこれは失敗だった。
砂走はバランスよくポンポン下って行く分には好い。
しかし今の自分は膝が悪くてスタコラ下ることが出来ない。
よっこらっしょっと下ることになる。
そうすると却って石にけつまずいたり砂で滑ったりで危険なのだった。
思えば2019年まで自分はこの砂走をガシガシと下っていたのだ。
若者に「早いですねえ」なんて賛辞までいただいたりしたのだ。
それなのに2019年の夏に膝を怪我してからもうガンガン下ることが出来なくなった。
登るのがダメでも下るのは速いと揶揄されてた自分だけど今はもう両方ダメだ。
しかも下っていたら雨が降ってきた。
それも突然バラバラと降ってきた。
それで屋根のある砂払い五合目に急いだ。
ところが歳月が屋根をなくしてしまっていた。
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がっかりして森の中に入って傘を差して歩く。
砂走五合目から駐車場まで40分程。
山頂まで行っていたらプラス1時間雨に降られたのかも知れない。
森の中を歩いて駐車場着13時50分。
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4時に出発していたら山頂を極めてもこの時間に戻ってこれたんだよな。
などとおもわないでもないけれど今日はとにかく高所順応。
標高差1600m6時間登り続けだから好いトレーニングだった。
これならこの夏にどこかアルプスの一隅にでも登れるかなと期待。
でもやっぱりこの夏の開山前に須走口から富士山山頂まで登ってみようかな。